「大勢の前で話をすると、恥ずかしくて顔が赤くなる」また、「声がうわずったようになる」という人はたくさんいます。
しかし、対人恐怖症では、こうした症状がとても強く意識されたり、日常的な他人との会話のシーンで、慢性的に現れるようになります。
ひどくなると、職場や電車の中などでも、常に人の視線を気にするようになり、視線を感じただけで赤面する、手が震える、汗をかく、あるいは打ち解けた場面なのに言葉が出てこない、といった症状に悩まされます。
とくに打ち解けた場面での人との会話やコミュニケーションに支障をきたします。場合によっては動悸や息切れが現れ、その場で失神してしまうこともあります。
きっかけは学校や職場でのささいなできごとが多く、患者さんはそうなってしまった自分が人にどう思われているかと気に悩み、症状が進んでしまう傾向にあります。
なお、対人恐怖症の中には、「自分の体から、おならやわきが、排泄物のにおいなどが出ている」と思い、人との接触をさけるようになる(自己臭恐怖症)、「自分の鼻が曲がっている」「口がゆがんでいる」などと思い込み、「自分の不恰好な姿や容貌を他人が嘲笑している」あるいは「自分の姿が醜いため、周囲に迷惑をかけている」と思い、人前に出られなくなる(醜形恐怖症)、「自分の視線が他人に不快感(危害)を与えている」と気になり、人と視線を合わせられなくなる(自己視線恐怖症)、などもあります。
これらは一般に重症対人恐怖症といわれ、思春期に多く見られます。