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2008年6月18日水曜日

対人恐怖症とはどんな病気?

「大勢の前で話をすると、恥ずかしくて顔が赤くなる」また、「声がうわずったようになる」という人はたくさんいます。

しかし、対人恐怖症では、こうした症状がとても強く意識されたり、日常的な他人との会話のシーンで、慢性的に現れるようになります。

ひどくなると、職場や電車の中などでも、常に人の視線を気にするようになり、視線を感じただけで赤面する、手が震える、汗をかく、あるいは打ち解けた場面なのに言葉が出てこない、といった症状に悩まされます。

とくに打ち解けた場面での人との会話やコミュニケーションに支障をきたします。場合によっては動悸や息切れが現れ、その場で失神してしまうこともあります。

きっかけは学校や職場でのささいなできごとが多く、患者さんはそうなってしまった自分が人にどう思われているかと気に悩み、症状が進んでしまう傾向にあります。

なお、対人恐怖症の中には、「自分の体から、おならやわきが、排泄物のにおいなどが出ている」と思い、人との接触をさけるようになる(自己臭恐怖症)、「自分の鼻が曲がっている」「口がゆがんでいる」などと思い込み、「自分の不恰好な姿や容貌を他人が嘲笑している」あるいは「自分の姿が醜いため、周囲に迷惑をかけている」と思い、人前に出られなくなる(醜形恐怖症)、「自分の視線が他人に不快感(危害)を与えている」と気になり、人と視線を合わせられなくなる(自己視線恐怖症)、などもあります。

これらは一般に重症対人恐怖症といわれ、思春期に多く見られます。

症状について

一般的に症状は、同年輩の3人以上の人との会話場面で強く現れることが多く、二人だけの場面では軽くなります。
そのため、自分の症状を過小評価する傾向もあります。
対人恐怖症には、主に次のような症状があります。

■赤面恐怖
職場や近所の人たちと会う、人前で話をすると、顔が赤面してしまいます。
赤面した自分を見られることを気にするあまり、人と会うことを避ける、外出が苦痛、人ごみや職場へいけなくなる、電車などの乗り物に乗れなくなるなどの症状に進展することもあります。

■対人緊張
職場の会議、宴会、結婚式のスピーチなど大勢の人前で話をするときの緊張感が極度に強く、声が上ずる、手が震える、多量の汗が出るといった症状が現れます。
こうなってしまうことを気にするあまり、人前に出る場面が近づくと、しだいに不安や緊張が強くなり、眠れなくなるなど、日常生活に支障をきたします。

また異性の前で特に症状が強くなるケース(異性恐怖)や、性交の失敗を極度に恐れるケース(性交恐怖)などもあります。
以上の様な症状のほかに、ひどい場合は、めまいや失神を起こすこともあります。

周囲の人の対応

患者さんは、人前に出たいのに、出られないことを深く悩み、自己嫌悪に陥っていることも少なくありません。

「人なんか怖くない」などといって、無理やり人前に出そうとすると、ますます自信をなくし、患者さんを追い込むことになります。
また「気が弱いから」「鍛え方が足りない」などの理由で、無理やり訓練したり、厳しい態度で臨むのも逆効果になります。

治療には時間がかかることが多いので、患者さんが自発的に人に会いたいというまでは見守ってあげましょう。

一般に、対人恐怖症にかかる人は、厳格な「強い親父」(あるいはそれに類する教育者)を持った人に多いといわれます。
患者さん自身の過去の親子関係に問題があったことも理解すべき点です。